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2023年にドバイで開催されたCOP28では、2030年までに再生可能エネルギーによる発電容量を3倍にし、エネルギー効率の改善率を2倍にすることを締約国に求めるなどの合意がなされ、G20とG7の双方から新たな取り組みが打ち出されたにもかかわらず、エネルギー転換は依然として軌道から外れています。化石燃料は依然として主要国のエネルギーミックスの大部分を占めており、パリ協定の目標が達成される可能性は年々遠のいています。
温室効果ガスの排出量削減がこの10年で達成されるかどうかで、今世紀中の世界の気温上昇を産業革命前と比べて1.5°Cに抑えられるかどうかが決まります。世界エネルギー転換展望(World Energy Transitions Outlook)で示されたIRENAの1.5°Cシナリオは、2050年までに1.5°C目標を達成するための道筋を示しています。
世界エネルギー転換展望2024年版は、すべてのエネルギー部門にわたる実施状況と目標とのギャップを追跡することにより、進捗状況の概要を提供し、今世紀半ばまでにネットゼロを達成するために2030年までに実現させなければならない優先分野と行動を、利用可能な技術に基づいて明らかにしています。
この報告書では、世界のエネルギー転換を気候変動目標に適合させるために必要な行動の鍵として3つの柱を挙げています。第一に、必要となるインフラを構築すること、第二に的を絞った投資を促進し、社会経済的にも環境的にも成果を高めるような政策・規制の枠組みづくりを推進すること、第三に自然エネルギー比率の高いエネルギーシステムに見合うだけの技術と能力を担保するために組織能力を戦略的に再調整することです。